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2016/06/29 スタッフインタビュー企画「6月のゲスト:歴史番組「琉球サウダーヂ」のディレクター島尻一さん」

島尻一アイコン
6月のゲスト:島尻一(Hajime Shimajiri)
制作課でディレクターとして働く島尻さん。様々な番組に携わっていますが、なかでも国仲涼子さんがナレーションを務める歴史番組「琉球サウダーヂ(RBCにて放送中)」について撮影のウラバナシや番組の魅力をインタビュー。

歴史を知ると世界が変わる?「琉球サウダーヂ」の楽しみ方とは

島尻一メイン

―本日は宜しくお願いします。

島尻:宜しくお願いします。

―琉球サウダーヂで島尻さんはどのような役割を担っているんですか?

島尻:僕はディレクターとして携わっています。まず、放送するテーマを作家で琉球史研究家の賀数仁然さんに提案をしてもらい、2人で話し合ってテーマを決定。その後原稿を書いてもらい、それを元に僕が台本を書き、ロケ・編集をしています。

―番組は今年の10月で放送開始から3年経ちますが、制作において番組当初と現在で変化はありますか?

島尻:ありますよ。最初は、歴史の知識が浅かったので何を撮っていいか分からない状態でした。だから画はイメージカットが多かったと思います。自然、さとうきび、海、土とかね。だけど、今はロケを重ねていくうちに歴史に詳しくなったので、文化財や王様を表すならこの画かなと分かるようになってきましたね。

島尻一フォト1

―歴史に詳しくなってきたとおっしゃっていましたが、島尻さんは琉球の歴史の面白さって何だと思いますか?

島尻:そうですね。分からない事が多すぎるところかな。沖縄戦によって文化財やこれまでの歴史書が無くなっている事が多い。なので推測できることが多いんです。番組で研究家の方に話を伺う機会があるんですが、それぞれ解釈が違うんですよ。そういう話を通じてどういう人なのか知ることもできるので面白いと思いますね。

―実際に面白いと思ったお話はありますか?

島尻:んー、琉球で年に1回神様が現れる時には必ずサインがあるという話かな。歴史書によると、巨大な傘が山を覆うと神様が姿を見せるとされているんです。それは五色荘厳だったらしく、ある歴史家は「虹」と言い、ある人は「UFO」と言った。こういう風にわからない部分を、それぞれ違う観点で捉えていることが面白いですね。

―まさにミステリーですね。
ロケで色んな場所に行かれていますが、印象的だった場所はありますか?

島尻:尚巴志(※1)のお墓へロケに行ったときは印象に残っています。佐敷生まれで首里城にいたにも関わらず、尚巴志のお墓は嘉手納基地内の黙認耕作地の中にあるんです。理由は諸説ありますが、第二尚氏(※2)のクーデターが起きたため、荒らされないように第一尚氏王統の一族が避難させたと言われています。


※1 尚巴志・・・14世紀後半から15世紀前半にかけて活躍した、琉球王国の英雄。三国に分かれて争っていた琉球を統一して琉球王国を樹立。第一尚氏王統。
※2 第二尚氏・・・伊是名島生まれの尚円王を始祖とし、15世紀後半からおよそ410年間、琉球王国を統治した王統。第一尚氏王統と血縁関係はないとされる。

―尚巴志のお墓など、特別な場所でロケする時はどういう気持ちになりますか?

島尻:「お邪魔します」という気持ちになりますね。ガマやお墓に行くことがあるんですが、少しいつもと違う何かを感じることがあるんです。ですから、特別な場所に行くときは必ず清明祭セット(線香・水・お酒など)を持っていき、掃除をして手を合わせてから撮影を始めるんです。撮影終了後も掃除した後に「お邪魔しました」と言ってから帰っています。

島尻一フォト2

―大事なことですよね。では次に番組についてお聞きしたいのですが、毎回素敵な音楽が流れていますよね。選曲のポイントを教えてもらえますか?

島尻:ジャズとブラジル音楽が好きでよく番組でかけていますが、毎回テーマによって曲を変えているんです。例えば、「沖縄そば」をテーマにした時は近代的な内容だったので80,90年代のソウルを使ったんです。他にも「識名園」の時は民族音楽を使用するなど、番組のテーマに合うように毎回考えていますね。

―毎回変えているんですか!曲選び大変ではないですか?

島尻:僕の知っている曲の中から、あのテーマにはこれがいいかなって当てはめることが出来るので大変というより楽しいですね。学生の頃、ラジオで僕の知らない曲が流れるとドキドキしてたんですよ、こんなにイイ曲があるんだって。この僕が感じたドキドキ感を“琉球サウダーヂ”で出せないかなと思っていたんです。

―そういう思いがあったんですね。

島尻:なんなら、曲選びは編集するよりも楽しいです!

島尻フォト3

―琉球サウダーヂを通して視聴者に伝えたいことはありますか?

島尻:はい。番組で紹介した場所の中には、歴史的背景があるエリアや建物があるんです。
普段何気なく通っている道や・場所の歴史がわかると見方も変わってくるはず。大きく言えば世界が変わる、と僕は思うんです。そういう面白さが視聴者の方にも伝わるといいなと思いますね。例えば、那覇市西町には住宅地の中に、消防署や那覇医師会といった大きな建物がある。もとを辿ると、そこは冊封使(※3)たちが来た時の宿舎だったようで、それで大きい土地がそのまま残っているんです。
他にも、琉球には競馬が娯楽とされていた時代があり、いたるところに競馬場があった。首里城の裏、瑞泉酒造の前のまっすぐに延びた一本道があるんですけどここも競馬場。琉球の競馬は周回するのではなく一直線だったみたい。この話を聞くと、普段見る景色が歴史と繋がって面白いなと思いません?僕はそう思うんですよね。

※3 冊封使(さっぽうし)・・・中国皇帝の使い。琉球の王様を任命・承認した。

―何気なく通っていた道や場所に歴史があれば見方も変わりますし、新しい発見もありそうですよね。
ではその面白さを視聴者に伝えるために工夫されていることはありますか?

島尻:番組の放送時間が2分半と短いのであまり情報を入れ過ぎないようにしていますね。最初はたくさん情報を載せていたんですが、これは覚えられないかなと思ったんです。そこで出来るだけ情報を少なくし、大事な点だけを放送するようにしています。あともう1つ、土曜日の夜11時過ぎから番組が始まるのですが、眠くなる時間なんですよね(笑)
その点も考慮すると、あまり情報を詰め過ぎると覚えてもらえないかなって。

―視聴者に面白さを伝えるために、様々な工夫をされているんですね。
是非みなさんに放送を見て頂き、歴史と素敵な音楽を楽しんで頂きたいと思います。

島尻:そうですね。面白いと思って頂ければ嬉しいです。

来年3月 尚巴志の歴史ドラマを制作!

島尻一フォト4

―琉球の歴史ドラマが放送されるとお聞きしましたが、ドラマは元々作りたいという思いがあったんですか?

島尻:えと、琉球サウダーヂ担当のカメラマンと大河ドラマのようなものが撮れないかという話をいつも話してたんですね。僕と彼は番組に携わる中で、歴史の知識が少しずつ増えてきたこともあって、それを活かして歴史ドラマは撮れるんじゃないかという話はしていましたね。

―「ドラマを作りたい」という思いが実現していかがですか?

島尻:楽しみですね。実際、琉球サウダーヂを見てくれた方から「イイ番組だけど放送時間が短いよね」と言われることがあるんです。琉球サウダーヂでは資料や史跡を見せて作ることが多いんですが、ドラマとなるともっと深く見せることができますしね。

―内容は決まっているんですか?

島尻:はい。「尚巴志の生涯」を放送する予定です。皆さん「尚巴志」という名前はご存じだと思うんですが、実際何をした人か説明するのは難しい。僕も番組を作るまでそうでしたし。三山を統一した英雄とされているけど、実際は150cmくらいの小柄な人らしいんですよ。こういう人物像はドラマだと表現しやすいので視聴者の方にも伝わりやすいんじゃないかな。

―私も名前は知っているけど詳しくは知りませんでした。

島尻:そうですよね、だから僕は沖縄の名士や歴史上の人物を題材にしたドラマをどんどん作って、こどもたちや大人に歴史を知ってもらえるきっかけを作りたいんです。他にも作りたい人物はたくさんいるんですよ。「尚円王」「護佐丸」「阿麻和利」など・・・ね。

―沖縄の歴史ドラマシリーズ見てみたいです。
ところでドラマ「大琉球サウダーヂ」の放送予定はいつ頃ですか?

島尻:2017年2月か3月を予定しています。1時間ドラマを3本、3週にわたって放送する予定ですがまだ調整中ですね。

―来年の放送が待ち遠しいです。これから撮影などでお忙しくなると思いますが、頑張ってください。

島尻:ありがとうございます。

視聴者に色んな「面白い」を感じてもらえる番組作り

―これまで色んな番組を手がけてこられたと思いますが、島尻さんが番組作りの中で大切にしていることを教えて下さい。

島尻:視聴者の方が、番組を見て気持ちよくなってくれるとイイなと思っています。なので、どんな時間にどんな気持ちで見ているかなと考えるようにしていますね。あと「面白い」という言葉は、笑うだけでなく色んな発見や気づきを見つけることにも、言えると思うんですね。だから僕は色んな「面白い」を感じてもらえるように作っているかな。

―番組を作るときにまず何から決めますか?

島尻:何だろう、タイトルかな。番組の内容が決まっていたらそうだと思います。タイトルがバシッと決まったら上手く作れると思います。僕はね。

島尻一フォト6

―そうなんですね。では「テレビで伝える」楽しさは何ですか?

島尻:やっぱり僕の作った番組を見て「面白かったよ」と反応をもらうことですね。以前「ゴリmeets復帰っ子」(※4)「ゴリmeets世界のウチナーンチュ」(※5)という番組を作りました。その放送終了後に部署の違う営業から、「僕もこんな番組作りたいです」と言われた時はとても嬉しかったですね。10数年間テレビの仕事をしていて慣れなど出てきますが、こういう反応をもらうと、初心にかえれますね。

※4 ゴリmeets復帰っ子・・・ガレッジセールのゴリが、同世代の復帰っ子たちと沖縄の今とこれからについて熱く議論を交わす番組(2012年RBCにて放送)
※5 ゴリmeets世界のウチナーンチュ・・・世界で活躍するウチナーンチュたちが集結し、活躍の秘密・苦労・歴史・メンタルをガレッジセール・ゴリが探る番組(2015年RBCにて放送)

―反応があると嬉しいですよね。これまでで島尻さんが影響を受けた番組はありますか?

島尻:ありますよ。「ワーズワースの庭で」(フジテレビ 1993年放送)。趣味や道楽を、おしゃれに紹介してイイ気分にしてくれる番組です。もう1つは、「バミリオン・プレジャー・ナイト」(テレビ東京 2000年放送)。ダジャレと芸術アート、昭和歌謡を織り交ぜた番組。シュールでナンセンスで勢いが凄いなって思いましたね。僕はあの番組は作れないけど、最高に面白い番組でしたね!

―もし、予算や時間などを気にせずに番組を作れる機会があれば、どんな番組を作りたいですか?

島尻:2つあって、まずは子ども番組。お母さんと子どもが一緒に楽しめる番組を、沖縄で作ることができればいいなと思います。スタジオに子どもたちを呼んで、キャラクターとお兄さんとお姉さんが登場する感じの。週末には、イベントを開催するなど番組と絡めたことをしたいですね。
もう一つは、力道山の師匠「沖識名」の生涯を紐とく番組。与那原町出身のハワイ移民のプロレスラーなんですよ。日本のプロレスの祖が力道山とされていますが、じつは師匠・沖識名こそが日本のプロレスの祖ではないか?という話です。

―どちらも面白そうな番組ですね。放送される日を楽しみに待ちたいと思います。

島尻:いつか僕は作ろうと思います!絶対に。

―本日は、琉球の歴史の面白さなども聞けてとても興味深かったです。
長いお時間ありがとうございました。

島尻:興味を持ってくれて嬉しいです。ありがとうございました。

 

琉球サウダーヂロゴ琉球サウダーヂ
毎週土曜日 夜11:24~ RBCにて放送中!
国仲涼子ナレーション:国仲涼子
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  • ジュリ馬(1936年)

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  • 程順則頌徳碑 (那覇市 波上宮ちかく)

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  • ジュリ馬(2016年)

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  • 明倫堂 跡地 (那覇市久米2-2-10)

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icon普段は真剣な表情で仕事に取り組んでいる印象の島尻さん。歴史の魅力についてお話ししている顔は、満面の笑みで楽しそうな表情をされていました。そんな、島尻さんは大のプロレス好き。インタビューでも紹介した「プロレスラー沖識名」の番組、いつか作ってくれる日を楽しみにしています。

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